中学受験 中高一貫校 入試トピック
2022年 都立中高一貫校 適性検査より
今回も異なる作者の文章が2つ出されるパターンです。
文章1
作者の好きな孔子の言葉がある「知るということは好きには及ばない。好きということは楽しむことには及ばない」だ。知る→好む→楽しむと3つの段階があることを示している。
昨今の情報化社会においては、知ることはかなり容易になった。が、そのことばかりしていると情報の多さに疲れ、潰され、主体的な関わりが出来なくなると筆者は言う。
また、何かを好きな者には積極性があるので、好きなものの中にこそ人の個性は現れるとも筆者は言う。ただ、好きな者は積極的だが、気負いすぎて近所迷惑になることもあるという。これは特に例が挙げられてないので、私の方で足そうと思うが、例えば「野球ファン」。自身が野球好きなのは結構だが周りにその好きを強要したり、あるいは別の野球好きと衝突してる場面を見たことはないだろうか。普段の生活の中でも野球好きの人は、例え話でも野球選手の名前をよく出すイメージがあるが、私は野球が好きなので良いが、他の人には通じないのでは?と思うこともよくある。こうした人はまだ「好む」の段階の人だ。
最後の段階の「楽しむ」。孔子の話によると、その好きなものと一体化し安住を得ることと述べているが、これまた例が無いので補足。先の野球好きの例でいくと、「野球を楽しめる」という段階まで上り詰めた人は、もはやどこのファンということもなく、ただ野球という全体が好きであり、そこで野球が行われていれば慈愛に満ちた優しい心で野球界全体を考え、優しく見守っている人のことであろうと思う。
この段階のことを「楽しむ」と呼んでいる。
文章2
今度は初めて「鼓(つつみ)」を習いに行った人の話。簡単にまとめると、やはり鼓は思ったより難しいが、先生の言葉に素直に従うと、一度だが気持ちの良い「ポンっ」という音が鳴って嬉しかったという話である。
二つ目の文章は何ということもなくこれで終わり。
そしてメインの問題。
では、この二つ目の鼓を習いに行った人は文章1でいうところの「知る、好む、楽しむ」のどの段階にあったと思うか、自分の意見とその根拠を書く。また最後に、自分とは他の段階と答えた人にも分かってもらえるように、その人の考え方を想像してそれに触れながら、あなたの考えを筋道を立てて説明しなさい。
というのが問題でした。
ここ最近中高一貫校で増えてきた相手の意見を想像してそれに触れた上で、相手を説得できる文章を書かせるスタイルでした。今までは自分の意見をただ言えば良いだけの問題が多かったですが、最近では出題側も工夫してきて、こうした「相手の意見や反論の予測」まで出来るかを問うてきます。
これは普段からある問題に対して、どういう意見が出るのかを毎回考えてきたかが大きく試される問題です。
たとえば「救急車の有料化」について。反対賛成の両方の意見まで考えを巡らせることが出来なければならないということです。できますか?
本当に普段の積み重ねが大事になってきます。テクニック等でどうにかなるようなものではありません。
塾だけでなく、普段から問題意識を持って、様々なものに意見を持ち、また他者の意見も想像する練習をすることが大事です。直前になってそんな問題が出るの?と言っていては決して間に合いません。
このブログでは毎回こうした実際に過去に出題されたトピックをまとめていきますので、もし普段こうした勉強されていないというかたは、このブログを是非とも活用して頂き、お子様との勉強・意見交換の場として頂ければと思います。
これからも中学受験・中高一貫校に関するブログを継続的にあげていきます。
何か相談事があればLINEよりお知らせ下さい。
2023年度入試の受験生の皆様のご健闘をお祈りしております。
愛行舎 田中